- 教員氏名
- 黒丸 尊治 教授
- 専門分野
- 緩和医療、心身医学、ホリスティックコミュニケーション
私は「心の治癒力」や自然治癒力(体の治癒力)にとても関心があります。以前は心療内科医として様々な身体症状を持つ心身症の患者さんと、今は緩和ケア医として終末期のがん患者さんと日々かかわっています。特に心療内科時代は、できるだけ薬を使わずブリーフセラピーを中心とした心理療法で患者さんの治療にあたっていました。今はトータルな視点から悩みや問題の解決を考えるホリスティックコミュニケーションを教えています。
心療内科では、心の状態がいかに患者さんの身体症状に影響を及ぼすのか、その改善には心理的アプローチがいかに有効であるかを経験的に学びました。また緩和ケアでは、終末期のがん患者さんの気持ちに寄り添うことで、痛みなどの身体症状が軽減し、穏やかな最後が迎えられるようになることも学びました。このような経験から、心へのアプローチが患者さんの心や身体に大きな影響を及ぼすことができることに大きなやりがいと面白さを感じています。
今の医療は、心を軽視し身体にばかり目を向け、薬や手術で病気を治そうとする傾向が強くあります。私はそのような身体面に偏った西洋医学のあり方に疑問を感じ、心と身体のつながりや「心の治癒力」、心身両面からの治療を大切にする心療内科に興味を覚え、その道に進むことにしました。また、末期がんが自然に治ってしまう「がんの自然治癒」現象にも心の状態が大きく関与していることに興味をもち、緩和ケアの分野にも携わるようになりました。