- 教員氏名
- 森田 喜治 教授
- 専門分野
- 施設心理・虐待・自然災害トラウマ・遊戯療法・夢分析・投映法
施設心理・虐待・自然災害トラウマの心理治療・児童養護施設内での子どもの心のケアを研究の主体にしている。尚、子どもの心理治療をはじめ、夢分析、箱庭療法の研究においてオリジナルな技法として、夢の箱庭表現の研究を数十年前から実施を含め研究の対象としている。
おもしろさというと語弊があるが、昨今の心理療法がテクニカルなあるいはマニュアル的な方向に動いているのに対して人間の根本的な心の深部に関わり、そのおごそかさと、人間存在の尊厳に関わることのできる素晴らしさに感動することが多い。とかく科学としての心理学を追求することで否定されがちになる感覚や直観、あるいは関係の中で変化する心の状況に出会うことは複雑な人間の存在や簡単に直すことのできない心の世界の重みに出会うことになる。悩むことも多いにしてもそれこそが人間の尊厳であると理解できる。ひいてはそれらが一定の理論やテクニックではどうにもならないのがまさに”人間”という現象であることに出会うことは同じ人間としての自己の尊厳に気付くことのできる体験にもなる。
かつて、児童養護施設での心理士として勤務していた経験が最も大きい。これらの反応や行動が通常の心理学的理解ではどうしても理解しかねる行動があり、現在はそれを障がい枠の中で理解することで、満足してしまっている。しかし、彼らの行動特性がたとえマニュアル通りであってもかならずしもそれに当たらないことを経験的に持っている。子どもの心の理解はマニュアル上のものではなく、その体験の中でそれぞれであること、普遍的なものではなく複雑であることを前提にして理解を深めることで人間の存在意義を見出すことができると考える。その手立てとして、投映法がその役割をもっているものともわれる。客観性を重要視するあまり主観性を軽視することは人間の個の否定にもつながる問題と考える。