- 教員氏名
- 武田 俊信 教授
- 専門分野
- 精神医学・神経発達症
近年は神経発達症の中でも特に注意欠如多動症に関する研究をしています。診断ツールおよび症状や日常生活の困難度を測定する尺度の開発を経て、現在は認知心理学的特性と介入に焦点を当てて研究しています。
私が成人期の注意欠如多動症の研究に着手した頃は、欧米先行で研究が進んでおり、日本で一からスクリーニング尺度や診断面接を立ち上げる面白さがありました。現在は何かこちらから海外に向けて発信することができないか模索中です。この苦しみの過程もある種の面白みといえるかもしれません。
神経発達症は「脳の機能障害」が原因とされます。しかしその対象となるのはコミュニケーション能力、柔軟性、集中力、自己コントロール力あるいは学習能力といった現代社会が重んじる価値観が根強く反映された領域に限定されています。近年、精神医学ではbio-psycho-socialという多面的な見方が強調されるようになりましたが、私はさらに-chronologicalという新たな軸を加えた構造的なパースペクティブが必要であると考えるようになりました。こういった様々な視点のクロスポイントにいるのが好きなのかもしれません。